
食の多様化と共に食生活は大きく変化し、現代社会における栄養問題にも発展しています。
1992年、FAOと世界保健機関(WHO)が共催した国際栄養会(International Conference on Nutrition)では、栄養の2重負荷(栄養が良好でない “多すぎる、少なすぎる” 状態)の問題が提唱され、肥満と低栄養、疾病リスクの要因について広く議論されるようになりました。「栄養の2重負荷とは、カロリーは足りているけれども、必要な栄養素が足りていない現代の栄養失調状態である。」という意味を示しています。
このことは、成人のみならず子供の成長に関する問題であることも否めない状況にあります。また、低栄養状態を有する高齢者も少なくありません。令和3年度介護報酬改定により、介護保険施設において、人員基準に現行の栄養士に加え管理栄養士を位置づけ、入所者ごとの栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行うとともに、入所者数に応じた管理栄養士の配置等への評価を創設するなど、より高齢者に寄り添った栄養管理に繋がる見直しが行われました。低栄養は身体機能や認知機能の低下に繋がり、個々人の生活そのものへ影響しうる急務な支援事項と言えます。当会では、これらのことを鑑み、県民の皆様方の「健康寿命の延伸を図り、その人らしい生活の実現を」生きる糧である食・栄養の視点から支援を行うと共に、睡眠や活動(運動)等と合わせた健康づくりと疾病予防への取り組みに努めて参りたいと思っています。
公益社団法人 愛媛県栄養士会は、1947年(昭和22年)に「日本栄養士会愛媛県支部」として発足致しました。約70年にわたり、様々な方々のご支援のもとに現在がございます。今後も会員や県民の皆様方と共に歩んで参りたいと思っております。
今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。
公益社団法人愛媛県栄養士会
会長 利光 久美子
管理栄養士・栄養士倫理綱領(第2版)(制定 平成14年4月27日 改定 平成26年6月23日)
本倫理綱領は、すべての人びとの「自己実現をめざし、健やかによりよく生きる」とのニーズに応え、管理栄養士・栄養士が、「栄養の指導」を実践する専門職としての使命と責務を自覚し、その職能の発揮に努めることを社会に対して明示するものである。
- 1. 管理栄養士・栄養士は、保健、医療、福祉及び教育等の分野において、専門職として、この職業の尊厳と責任を自覚し、科学的根拠に裏づけられかつ高度な技術をもって行う「栄養の指導」を実践し、公衆衛生の向上に尽くす。
- 2. 管理栄養士・栄養士は、人びとの人権・人格を尊重し、良心と愛情をもって接するとともに、「栄養の指導」についてよく説明し、信頼を得るように努める。また、互いに尊敬し、同僚及び他の関係者とともに協働してすべての人びとのニーズに応える。
- 3. 管理栄養士・栄養士は、その免許によって「栄養の指導」を実践する権限を与えられた者であり、法規範の遵守及び法秩序の形成に努め、常に自らを律し、職能の発揮に努める。また、生涯にわたり高い知識と技術の水準を維持・向上するよう積極的に研鑽し、人格を高める。