公益社団法人 愛媛県栄養士会

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愛媛の歳時記

生涯教育研修会開催報告

日時:令和元年 12月 1日(日) 10:30~16:15
場所:ホテルマイステイズ松山
参加人数:74名

【講義内容等】

1.実務研修(講義)(10:35~12:05)
「油脂の基礎知識~オリーブオイルの世界~」
講師:日清オイリオグループ(株)研究員
青柳 寛司 先生
田木 正樹 先生

・油は三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)
の一つで、生命の維持に不可欠
・主な役割は、
①料理の味や見た目をおいしく仕上げる
②必須脂肪酸やビタミンEの供給源
③脂溶性ビタミンの吸収を助ける

・寒い地域は酸化されづらく固まりやすい環境なので、生息する生物は“多価不飽和脂肪酸”が多い。暑い地域は酸化されやすいが固まりにくい環境であるから“飽和脂肪酸”を多く持つのが特徴
・オリーブオイルを中心とした地中海沿岸地方の伝統的な食生活は、心臓病の発症が極めて低いことから注目された【アンセル・キース教授ら(米国)による疫学調査】
・主成分はオレイン酸で、善玉コレステロールを減らさず、悪玉コレステロールを増やさない働きがあることから、冠動脈性心疾患のリスクを低減する可能性がある【2004年FDA(アメリカ合衆国食品医薬品局)限定的健康協調表示認可】
・ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化物質を多く含む
・香りは5段階で「青々しい果実の香り(グリーン)」「熟した甘い果実の香り(ライブ)」のバランスにより決まる。グリーンとライブは果実の品質、熟成度、産地によって変わる。
・グリーンはポリフェノールを多く含み、苦み・辛み成分によりスパイスのように料理をすっきり仕上げる
・グリーンはサラダやカルパッチョ等、ライブは温野菜やクリーム系パスタの料理等に使用するのがおすすめ

2.実務研修(講義)(13:00~14:30)
「動脈硬化と食環境~油脂・食品成分の役割~」
講師:東洋大学食環境科学部健康栄養学科
教授 近藤 和雄 先生

・日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳
と群を抜いて高い
・一方で、虚血性心疾患の死亡率も世界一位である
・動脈硬化の危険因子には管理できるものとできないものがある管理・改善できないもの :年齢、性別、遺伝的要因管理・改善できるもの:脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、ストレス、運動不足
・脂肪摂取量と血清コレステロールには相関性がある。油脂摂取量の年次変化を見ると、見える油(植物油、マーガリン等)は横ばいであるが、見えない油(肉類、魚類、穀類、卵等)は増加しており、1日に食べる油の8割近くは見えない油から摂取している。
・植物ステロールにはコレステロール上昇抑制作用がある
・脂質異常症の食事療法は、一般的な日本食で概ね賄える
・活性酵素に対して戦う食品中の主な抗酸化物
*トコフェロール(ビタミンE)
*アスコルビン酸(ビタミンC)
*カロテノイド
*ポリフェノール
*コーヒー酸誘導体
*セサミノール
(主な食品として、赤ワインや抹茶・コーヒー・ココア・玉ねぎ・リンゴ)

3.実務研修(講義)(14:40~16:10)
「福祉施設における栄養ケアマネジメントの実際」
講師:日本栄養士会福祉担当理事
社会福祉法人いわき福音協会つばさA型
管理栄養士 加藤 すみ子 先生

・超高齢化を迎える日本では国の政策として2040年を展望とした社会保障・働き方改革、健康寿命の更なる延伸が掲げられた
・この政策で管理栄養士に求められていることは多く、地域包括ケアシステムにおいて通いの場や配食産業など、食に関するニーズが高まっている
・栄養ケアマネジメントとは、対象者の栄養状態を判定し、改善すべき栄養上の問題を解決するために、個々人に最適な栄養ケアを行い、その業務遂行上の機能や方法、さらに効果的に行うためのシステムをいう
・日本栄養士会では食に対するニーズに対応できるよう、定期的な基礎研修が必要であり、栄養ケアマネジメント研修のシステム構築を2020年より実施予定である。

福祉事業部
報告者 森木陽子